夜ちゃんと寝れてないだろ
先週、ある観劇に行くにあたり、源氏物語を知っているとより楽しめるとの感想が上がっていました。
せっかく生で舞台が見られる以上、最大限作品のことを知って臨むというのは義務でないにせよ良い余暇の過ごし方ではないでしょうか。
観劇までの1週間、かねてから興味のあった「あさきゆめみし」を読んでみることにしました。
浅学ながら軽く触れさせていただくと、「あさきゆめみし」は紫式部の著した長編小説、源氏物語を漫画化した作品です。そして源氏物語は平安の貴族、光源氏がさまざまな女性と恋に落ちる一生を描いた物語として知られています。
本来、きちんと作品に触れるなら原文、もしくは忠実な訳文を読むべきと考える方ももちろん、いらっしゃるでしょう。
しかし少々期限が決まっている以上、1週間で内容を把握したかったこと、源氏物語への知識も一般常識に毛が生えた程度の薄いものであったこと、なにより中高の図書館にあったものの、なにぶん完全版で全十巻、貸し出し対象でもなかった「あさきゆめみし」に挑戦したいところが大きかったかもしれません。
いつか読もうと思ううちにあっという間に卒業してしまい、もう機会もないだろうと思っていたところに良い機会が巡ってきました。
最近の技術進歩はありがたいもので、そうと決まればと電子書籍でまとめ買いをし、その日から早速読み始めました。
古典作品ですが長年愛されるだけあり、古典にさほど明るくなかったものの想像以上に面白く読み進められました。
しかし、1巻も半分にさしかかったところで異常に気がつきました。
はやくない?
展開、早くない?
…先ほど述べたとおり、私が持っていたのは古文の死ぬほど眠い時間に先生の話す知識、一般常識に毛が生えた程度のものでしたが少なくとも以下のことは覚えていました。
・主人公は光源氏で彼がさまざまな恋愛をする物語(一般常識)
・母に似た人が初恋
・かなり年の離れた子を自分好みに育てて妻にする(光源氏計画)
・光源氏のことを深く愛しすぎた故に嫁が生き霊となりほかの嫁に取り憑く。生き霊になった嫁は無自覚だが、起きると覚えの無い憑き物落としのお香が身体に染みついている。同時に別の嫁の訃報が伝えられ、自分はもしや寝ている間に恐ろしいことをしているのかと怯える。
・帝の嫁にまで手を出してしまい左遷される
・白紙の巻があり、その巻は光源氏は死んだことを表しているらしい
こう列挙してみると中高の古典の時間に培った睡眠学習もそこそこの功を奏しているのではないでしょうか。なまじ生き霊の話をきちんと覚えていたため自分の知識を少々過信してしまったところもあったかもしれません。5つ目の左遷のくだりで奴の人生は終わりを告げ白紙の巻に入り、子孫の話が結びで入れられ終わるのだと思考を補完していました。
ですが実際はこれが10巻中ほぼ1巻で触れられ左遷までで2.5巻ほどでした。嘘やろ ここから何すんねん…
…しかもここまでで女10人くらい引っかけていませんか?このペースだと10巻まで行ったら多分1クラス分くらい余裕で抱く感じになりますけど、ちょっと想像超えすぎじゃないですか?ハーレム?石油王か?バチェラーだってもっと慎みがあるし、コピペのあれか?
ある日突然、あなたに12人もの妹ができたらどうしますか?それも…とびっきりかわいくてとびっきり素直でとびっきり愛らしくてとびっきりの淋しがりや。しかもそのうえ…
いやどっちも見たことないですけど てか妹どころか娘孫レベルでも手を出しているので節操がない そもそもこのシスプリってやつは妹に手を出しているのか いやそれは今争点ではない…
てかこれ以上増えられても困るんですよ。
そら創作物は好きですけど、ただでさえ対人記憶能力が弱いこちらには、和歌にちなんだ名前はつけるわ、位とか役職が変わると名前変わるわ、さっきまで一の宮とか呼ばれてたのに大きくなったら別の名前になるし…誰誰誰誰!?
ごめん朝顔の君!?って誰だっけ!?ああ、夕顔はわかる…空蝉!?ごめんエピは多分覚えてるけど定期的に出てきてくれないとマジで関係性わからない あれいつの話だっけ…?相関図にもちゃんと全部書いてほしい
ごめん嘘 多分どんなにわかりやすくしてもらっても線がめちゃくちゃ多すぎてわからん
源氏から線が出すぎて大渋滞している こんなに整理して書いてもらってるのに光源氏から出てる線が多い、長い、上下に入り乱れ 相関図眺めて余裕で10分くらいNow Loading…になる
え!?!?お前親友の妹を正妻にもらっておきながら親友の嫁とも関係を!?
でその嫁と親友の娘(行方不明だった)を見つけて黙って自分ちに匿う!?
意図的に親友に黙りながら手の内に置き続けて、父とも夫とも言いがたいところまで進んでから帰す!?
これを政治的な意図と言うよりただの独占欲で行っているんですか!?人の心ないんか?ありすぎるのか
関係性がわからない話に戻るが、上位の嫁たちがほぼ同じレベルで美女に描かれるおかげで見た目判別も難しい 特徴がない顔が一番美に近いということなんだろうか 三宮と末摘花くらいわかりやすい記号がほしい ごめんな…おれがソシャゲの特徴もりもり次郎系ラーメンみたいなキャラに慣れすぎたばかりに…
…いや?おれは悪くないと思う 大体源氏が悪い
この源氏の君くんは物語中盤で大きい寝殿を作ってそれぞれの棟に嫁と息子娘を住まわせて超幸せ!これで幸せに暮らせる!とご満悦になるのだけどいや、やってること銀魂の一夜八股責任回とやってること一緒じゃんね たしかに家は綺麗だし絵面は美しいけどお前が通うのが楽になるだけだろうがい!え?でもみんな幸せそう…なんで?え?私がおかしいのか?
あまりに息をするように寝所に飛び込んでいくものだから読んで混乱している自分の方がおかしいような気がしてしまう 気をしっかり持て 気を失ったらそのまま死ぬぞ
源氏本人というか、さらに言うなら遺伝子すら悪い 夕霧!!!!!!おれはお前のことをだいぶ信じていたのに、夕霧×雲居の雁を推していたのに、どうして、どっちもなんかアレな感じになるんだ!!!!!この血か!!!この源氏の血が悪さをしているのか!!!!
そこまで奔放に抱きまくるならもう頭中将も抱けや 衆道にご興味はおありで無い?現代ナイズされたら確実に源氏×頭中将は大手ですよ 知らんけど 左右はわからん
そう、忘れてたんです…この物語は古典とはいえドロドロ恋愛小説…最近の若者の恋愛映画どころか普通の少女漫画すら読むのに固定ダメージが入るような自分には、倫理観ブレーキも無い平安時代は一足飛びでナイトメアモードだった 冒頭の口調で淡々と感想をまとめるなんてどだい無理な話でした しゃらくせえ やってられるか
でも立場に板挟みになりながらああだこうだと考えるのをやめられない人間の話は1000年前からみんな好きなんだな おれも好き
だいぶ労働と趣味が苛烈な一週間でしたが濃厚な全10巻を挫折すること無く読み切ることが出来たのでそれだけ惹きつけるものがあるんだよな まあ目的の舞台までに全部読むのは間に合ってないが
登場人物がわかるだけでも十分いけたので満足です!テンション爆上げ
舞台の方は演出も良かった 買うぞ、円盤を…
推しは花散里です おれが幸せにします